vs☆A

アンチジャニが嵐ファンになっちまったよ

バーテンダー#7【書き起こし】

バーテンダー、第7話。



また書き起こしてみました~~。

こうしてレビューしてると新しい発見があって、
そうか~~この間って重要なんだな、とか、
色々気付く点もあって、結構面白いです。


今回は溜くんの
「行ってよかったです」のとこの笑顔が
超~~~~素敵でした!!!

あと、美和さんに
「頼りなよ」っていうところ!!!

くぅ~~~!!!
頼りてぇぇええええーーーー!!!><
って私の中のオトメゴコロが発動してしまいましたw



溜くん大好きだーーー!!!





↓↓以下、書き起こし。

バーテンダー#7

病院。701号室。
病院に搬送された来島が呼吸器をつけて眠っている。

病室の外で心配そうに指示を待つ美和と溜。
病室のドアが開き、主治医が出てくる。
「先生…祖父は…」
「一命はとりとめましたが、今度発作が起きたら命の保証は…
…とにかく、最善を尽くします。」
病室を去る主治医。

「…どうしよう…。おじいちゃん死んじゃったらどうしよう…」
泣き崩れる美和。
「美和さん…座ろっか。」美和の肩をかかえ、支える溜。
「会長の病気のこと…聞いてもいい?」
「佐々倉さんと会う、一年くらい前…おじいちゃんが心臓の病気だって知ったの。
ホテルで偶然、主治医の先生と話してるのを聞いちゃった。」
「だから美和さん…メインバーのチーフバーテンダー探すこと急いでたんだ…。」
「…おじいちゃんの最後の夢になるかもしれない…。」
「ごめん…何も知らなくて…。」

「来島さん、意識が戻られましたよ」
病室のドアが開き、看護師が美和に声をかける。

うっすらと目を開けている来島。
「あぁ……美和か…」
「うん…そうだよ。」
「あぁ…夢を見ていた…」
「ん?」
「若い頃のな…ラパンの夢だ……
…佐々倉。」
「はい…。」
「すまんな…」
「いえ…」


BARラパン
「いやぁ…意識が戻られて本当によかった…」と三橋。
「でも、しばらくは絶対安静だそうです」
「カーディナルのメインバーのオープンの件で、
無理をしてらしたんじゃないでしょうか」
「僕、美和さんを励ましに行ってきます!」店を出ようとする杉山。
「やめておきなさい、邪魔になるから」
「…はい。」
「さ、バーテンダーが悲しい顔をしていられません。がんばりましょう。」
「はい」「はい」

バーのドアが開き、女性が入ってくる。
「いらっしゃいませ、君島さま」と溜。
「何回か来ただけなのに覚えてくれたんだ」
「はい、もちろんです」



とある商社の廊下。
重役とすれ違い、お辞儀をする早瀬(別所哲也)。
「早瀬くん、通関処理のミスで納期が遅れたそうだな」
「申し訳ありません、すべて私のミスです」
「部下を庇っていい格好をするのも結構だが、
自分の身を守るのも忘れないようにな」
「……」

自分の席に戻った早瀬に、女子社員が声をかける。
ヘアメイクも、メイクも完璧にした、チャラチャラとした女子社員だ。
「部長、書類のミス、すみませんでした。
……じゃあ、お先に失礼します!」
笑顔で去っていく女子社員を見つめ、ため息をつく早瀬。



BARラパンでは、君島が葉巻に火をつけ
カクテルを飲んでいた。
バーのドアが開き、早瀬が入ってきた。
「いらっしゃいませ、早瀬さま」
「久しぶりです」
「コートをお預かりします」
コートとカバンを預け、ジャケットの内ポケットを探る早瀬。
「おタバコをご用意いたしましょうか?」と杉山。
「あ、いや、実は3日前から禁煙してるんだ。でもついつい」
君島の3つ隣に座る早瀬。
君島のつけている葉巻の煙が、早瀬の席まで漂ってくる。

「いらっしゃいませ、何をお作りしましょう」と三橋。
「今日は…前の店でも飲んできたから…そうだな、バンブーを頼めるかな」
「かしこまりました」

「へぇ~~、バンブーなんてお酒があるんだ。
じゃあ、私もそのバンブーください」と君島。
「かしこまりました」

「でしたら…その葉巻を消していただけますか」と早瀬。
「え?」
「吸ってもいない葉巻を置いておいたら迷惑です」
「このお店は、葉巻いいんでしょう?」
「そうです…ね…」と溜。
「君は、知らないんだろうが、バンブーは香りが繊細なカクテルなんだ。」

「早瀬さま…よろしければあちらのお席へ」と見かねた三橋が声をかける。
「結構。私はこの席で飲みたいんだ」
「君、さっさとその葉巻消してくれ」

「…嫌。葉巻の煙を見ていたいの」
「見ていたい…?」
「あなたにとって、そのカクテルの香りが大事なように
私にとっては、この…葉巻の煙が大事なの」
「これだからモノを知らない若い女は困るんだ…
バーは、身勝手な子供が来るところじゃない!」
「子供で結構!無駄に長生きしてもあなたみたいに偏屈な中年になったら最悪ね」
怒った早瀬は席を立つ。
「は、早瀬さま…!」
早瀬は君島の葉巻を手に取り、ぐしゃっとへし折った。
「…今日は、失礼する」
カウンターに代金を置き、出ていく早瀬。
茫然とする君島。


閉店後のラパン。
「お疲れ様です」と溜。
カウンターで何やら練習をしている杉山の姿。
ダイススタッキングですか?」
バーテンダーたるもの、手首が柔らかくないといけない。
昔ダイスはバーテンダーの必須科目だったんだ。
こうやってカップを振って……ハッ!!!」
カップの動きを止める杉山。
「ダイスがいくつ…縦に積みあがったと思う?」
「…3つですか?」
「馬鹿にすんな!!!5つだ!!!ハイッ!」
カップを開けると1つも積みあがっていないダイス(笑)
「なんで…」

「佐々倉くんもうやったことあるでしょ」と三橋。
「あ…少しは」
「こんなの…5つ縦に並べるなんて不可能ですよ?」と杉山。
「頑張って修行を積んでください。」と三橋。

「今日は会長の件や色々ありましたから、ゆっくり休んで。じゃ、お先に」
「お疲れ様でした」

「でも…今日の早瀬さま、珍しく大人げなかったな」と杉山。
「あの…早瀬さまってどういう方なんですか?」
「あの三竹商事の次期役員といわれるスーパーエリート。
奥さんが病気で亡くなって、5~6年経つらしい。」
「……」



さくら食堂で新聞記事を読む溜。
見出しにはセンセーショナルな文字が躍っている。
『来島泰三氏、重病か!?来島興業、株価暴落!!!』
「ただいま~」美和が病院から戻ってきた。
慌てて新聞を隠す溜。
「美和ちゃん。大丈夫かい?」とおかみさん。
「おじいちゃん寝てる間に着替えちゃおうと思って」

「…佐々倉さん!いたんだ」
「おかえり」
「美和ちゃんに弁当届けてもらおうと思って寄ってもらったんだ。
ほい、何も食べてねえんだろ?」と弁当を持ってくる店主。
「…ありがと、おじちゃんおばちゃん。」
「うん」
「…着替えちゃう。」
気丈な美和を見つめる溜。



美和を送る溜。
「じゃあ…ここで。」と美和。
「病院まで送らなくていい?」
「大丈夫。佐々倉さんも仕込みあるでしょ」
「美和さんさぁ…つらいときは無理しないで頼りなよ。力になるから」
「ありがと。じゃあ」


BARラパンで仕込みをする溜。
ドアが開く。
「…!早瀬さま…!」
「すまない。営業時間外に」
「どうされました?今日は三橋も杉山も、立ち寄るところがありまして…まだ…」
「君は、最近入ったのか」
「はい、佐々倉と申します」
「昨日は…年甲斐もなくみっともないことをしてすまなかった」
「いえ…わざわざそれをおっしゃるために…?」
「仕事で若い部下に…面倒かけられた状況で…これは言い訳だな、
正直、若い女の子が葉巻ふかしたりして何を偉そうに、とも思ったりした。」
「早瀬さま、もしよろしければ、カウンターの中に入ってみませんか?」
「カウンターの中に?私が?」
「どうぞ。」
戸惑いながら足を運ぶ早瀬。

「へぇ…中からはこんな風に見えるのか…」
店内を見回す。
「バーって不思議なんですよ。こちら側からみると、
お客様の本当の顔が見えるときがあるんです」
「本当の顔…?」
「バーカウンターに並び、横顔では偽りの涙や笑顔を見せたとしても、
正面の本当の顔は、今にも壊れそうな心を映し出すこともある…。」
「君は…誰の話をしているんだ?」
「…今から話すことは、バーテンダーのひとりごとだと思ってください」

「ヨーロッパでは、子供が生まれると父親がお祝いの葉巻を
友人に配る習慣があったそうです。
出産のお祝いに葉巻をもらった医師がいます。ただその子は生まれつき重い病気で…
担当医だった彼女は、その子が元気になったら吸おうと心に決めて…
この半年間、必死で治療してきたそうです。」
「その医師が…昨日のあの子か…」
「でも結局その子は亡くなった…。それが昨日だったそうです。」

~回想~
『私に…この葉巻を吸う資格はないの。
…あの子を助けられなかったから。これは、あの子への供養の煙…。』
~回想終わり~

「…その葉巻を、酔っ払いオヤジがへし折った…。」がっくりと肩を落とす早瀬。
そして溜に問う。
「彼女は…ここにはよく来るの?」
「ときどき…おひとりで」
「彼女が吸っていた葉巻の銘柄、覚えてる?」
「ロミオ イ フリエータという銘柄です」


来島の病室には加瀬が来ていた。
「わかりました…。フランスフェアのオープニングパーティは、
会長のご指示通りに進めさせていただきます」
「うん、君のエキシビションは大変な評判になるぞ。
ながら、メインバーオープンの、素晴らしい前哨戦ともなる。よろしくね」
「あとはお任せいただいて。ゆっくり休養なさってください」
「ありがとう」
ドアをノックする音。
「はい」
「おじいちゃん。…あ!加瀬さんいらしてくださってたんですか」
「すみません、病院までお邪魔してしまって。では、私はこれで。
失礼します」
「ありがとうございました」
「おじいちゃんはこれから検査だからね」
「あいよ!」

来島を車いすに移動させる美和。
「じゃ、お願いします」
看護師が来島を連れていく。
来島のベッドに散乱する書類を片づける美和。
「こんなところでまで仕事して…」
美和はその書類の中で、フランスフェアの加瀬のエキシビション
サポートバーテンダーとして葛原が入ることを知る。



洗濯物を取り込む溜のところに美和が訪ねてくる。
「葛原さんが加瀬さんのサポートに?」
「…うん、加瀬さんが指名したみたい…。おじいちゃんの真意はわからない。
…まわりの人たちは葛原さんをチーフにしようとしているみたい。」
「…葛原さんなら、立派にカーディナルのメインバーのチーフを務められるよ。
美和さんもそう思うでしょ?」
「…私、この前葛原さんと佐々倉さん、どっちにチーフがふさわしいか
わからないって言ったけど、こんな形で決まるのは嫌なの!
…だから、佐々倉さんもフランスフェアに来て!それでもう一度加瀬さんとちゃんと…」
「それはできないよ!…悪いけど。
それに…今の俺じゃ、カーディナルのチーフにはなれない。」
「なれないって…どういうこと?」
「美和さんも、聞いたよね?加瀬さんの言葉…。」

『君を本物のバーテンダーとは認めない』

「俺には何かが足りてないんだと思う。でも、それが何か…
わからないんだ」
悲しそうに笑って、去っていく溜。



BARラパン。
何か思い悩むような顔をしている溜に三橋が話しかける。
バーテンダーがそんな顔じゃいけないですね」
「すいません」謝る溜。
ドアが開き、早瀬が入ってきた。
「いらっしゃいませ」
店内をうかがうような早瀬に杉山が声をかける。
「お待ち合わせですか?」
「いや…実は、渡して欲しいものがあって」

『ROMIO Y JULIETA』
葉巻の箱を取り出す早瀬。
「この前の彼女に、これを」
「葉巻ですか?」
「代わりのもので済むってもんじゃないけど」
「わかりました。お渡ししておきます」と溜。
「ありがとう」

「早瀬さま、この葉巻、スペイン語ではロミオ エフリエータですが、
英語では何と読むかご存じですか?」
「さぁ…葉巻は詳しくないんでね」
ロミオとジュリエット…」
「…私にはちょっとロマンチックすぎる名前だな…笑」
溜と早瀬はほほ笑み合う。

そこにちょうど君島が来店する。
「いらっしゃいませ」
「あ…!!!」
「あ…!!!」
「あの…先日は失礼なことを」と謝る早瀬。
「私こそ、つい意地になっちゃってお恥ずかしい。」
「どうぞ、こちらへ」早瀬の隣の席を指す溜。
「あ、はい…すいません」

「本当に…すまなかった。これを受けとってくれ」
「葉巻!?ひと箱まるごと買うと高いんでしょう?」
「この店だと…ひと箱で10回は飲めますね」と三橋。
「え…そんなに?!」と驚く杉山。
「そんな高価なものもらえない」と葉巻を返す君島。
「いや、これは私からの気持ちだから」
「困るってば!」
「いや、受け取ってもらわないと私だって困る」
「ほんとに!」
葉巻の箱を譲り合うふたりに溜が言う。
「でしたら、どうでしょう。この葉巻、おふたりのために
ここでお預かりするというのは。」
「え?この店に来たときだけ、吸うってこと?」
「そうです」
「いいな、禁煙中だが、葉巻だけはヨシとしよう。」
「25本入りじゃ割り切れないわね」
「一本は…君のものだ」と早瀬。
「ありがとうございます」葉巻を受け取る溜。
「あ…申し訳ありませんが、葉巻が苦手なお客様もいらっしゃいますので
おふたりで、あちらへお願いします」
見合わせてほほ笑み合うふたり。

早瀬と君島は、一本ずつ葉巻に火をつける。
目が合うとほほ笑み合うふたりを見て杉山は
「おい、なんかカップルみたいだな」と溜にこっそり話しかける。

会うたびに、一本ずつ葉巻を吸い
だんだんと減っていく24本の葉巻。
初めはバラバラだったオーダーも、
ふたり同じカクテルを頼むようになる。
楽しそうに乾杯するふたりを溜は優しいまなざしで見つめる。

「早瀬さんも大変でしょう。いつも何億っていうお金を動かして」
「人の命を預かる仕事に比べたら金を動かす仕事の方が精神的には楽だよ」
「私の場合は、つらいこともあるけど、でも患者さんが元気になって
「ありがとう」って言ってくれたときは本当にうれしいから」
「頑張ってるんだな」
「…こうやって「頑張ってるんだな」って言ってくれる人がそばにいるから
私は頑張れるのかもしれないな」
「あ、いや…僕は別に…」照れてごまかす早瀬は慌てて葉巻を吸う。
「ありがとう、忙しいのに会ってくれて」
ごほっごほっごほっ
葉巻でせきこむ早瀬。
「大丈夫!?」



翌日。
仕込みをする溜に、三橋が話しかける。
「明日のフランスフェア、佐々倉君に来てくれるように説得してくれと、
美和さんから連絡がありました」
「申し訳ないんですが、中途半端なまま加瀬さんに会いたくないんです」
「…カウンターの上ではバーテンダーを絶望させることがいくつも起こります」
「私も佐々倉君くらいの頃、苦しくて辞めてしまおうかと思ったことが
何度もありました。…でも振り返ってみたらその時の苦しみが
今自分の生きる糧になっていると思います。」
「……」
「中途半端でいいじゃないですか。もがいて苦しんで、
その中から見つかる、何かもあります。」
「……。」
「ま、堅苦しいことは抜きにして、久しぶりに
バーテンダー加瀬吾朗を見たくありませんか?」



BARラパンにはこの日も早瀬と君島がいた。
「残り2本になっちゃったな。」
2本の葉巻を見つめるふたり。
「早瀬さんと飲むの楽しかったのに残念だな。」
「残念って…」
「…来週から2年間、北海道の病院勤務になったの。」
驚く早瀬とラパンの面々。
「向こうにも…素敵なお店とかあるのかな…。
しばらくは友達もいないし、ひとりさびしくご飯かも。」
「…じゃあ…おじさんが相手でよかったら、明日、最後に食事どうかな?」
「いいの?やったぁ!ふふふ!」
喜ぶ君島を見てほほ笑む杉山と溜。「いいな、あのふたり。」



後片づけをする溜。
「お疲れさまでした。」
帰ろうとする三橋に声をかける。
「あの…三橋さん!明日…少し遅刻してもいいですか?」
「行く気になりましたか」
バーテンダーがしり込みしてちゃいけないですから」



翌日。ホテルカーディナルでは盛大にフランスフェアの
オープニングパーティーが催されていた。
パーティー会場を見回す美和。
「やっぱり来てないか…」

そこにスーツ姿の溜が現れる。
「美和さん。」
思わず笑顔になる美和。


「皆様、本日はホテルカーディナル、フランスフェアオープニングパーティーに
お集まりいただき、誠にありがとうございます。
本日は、日本が誇るフレンチの第一人者・山之内誠治シェフの料理、
パリの名門ラッツホテルのチーフバーテンダー・加瀬吾朗氏のカクテルで
お楽しみください。」

次々と招待客にカクテルをふるまう加瀬と葛原。
それを見つめる溜。
そんな溜を心配そうに見つめる美和。

「ホテルの一大イベントに、会長のあいさつもないとはなぁ!」
「お客様…!ご迷惑になりますので…!」
大きな声で批判を始めた暴力団のような客を必死で止めようとするスタッフたち。
「名門カーディナルの名が泣くな!会長は重病でパーティーどころじゃないか…
ワンマンの会長がいなくなったらどこかに買収されるんじゃないか?」
加瀬たちのいるカウンターに近づく暴力団たち。
「こんな時期にあんなの入りこませるなんて…
カーディナルもカリスマ不在じゃこんなもんか」ざわめく招待客たち。
見かねた美和が制しようと飛び出す。
「美和さん…!」止める溜。

カウンターで荒らし客と対峙し、にらみをきかせる葛原。
制する加瀬。
「お客様。」
「なんだよ」
「私から、一杯差し上げてもよろしいでしょうか」
無言で加瀬の前に立つ客。
シェイカーを振る加瀬。
「お待たせいたしました」

「…あれは?」カクテルの種類を溜に尋ねる美和。
「アンバードリーム。…でもどうして?」

「これは、アンバードリーム。琥珀の夢、という意味のカクテルです。」と加瀬。
琥珀…?」
琥珀という宝石は、松ヤニの化石です。琥珀には他の宝石のような輝きはありませんが、
何万年の時を経て、他の宝石とは違う美しさがあります。」
「だからなんなんだよ!」
「カーディナルは、いわば、この琥珀です。
来島会長が長い年月をかけ、苦労を重ね、作り上げた夢の結晶です。
そしてその琥珀に特別な輝きを与えてくださっているのが
今ここにいらっしゃるお客様…皆様です。
本日は、カーディナルのこの琥珀の輝きに酔いしれていただきたい!」
拍手をする招待客たち。
部屋を出ていく暴力団
「すごい…加瀬さん…。」つぶやく美和。
加瀬を見つめる溜。

「そのグラス、ワシがもらっていいかな」
登場したのは来島だった。
「おじいちゃん…!」
大丈夫、というように美和を制する来島。
加瀬の待つカウンターブースへ歩き寄る。
「どうぞ」と加瀬。
「ありがとう」
おいしそうに一気に飲み干す来島。
ざわめく招待客たち。
「うまかった!!」
来島の想いを受け、涙をこらえる加瀬。

来島は檀上へ向かう。
「私共のホテルについて、色々とご心配をおかけしているようで
誠に申し訳ございません。
私の人生にいつ終わりがくるか、それは誰にもわかりません。
ただし、お約束できることは、近々天才加瀬吾朗に負けない
優秀なバーテンダーを招いて、悲願のメインバーをオープンすることです。
そして、カーディナルには素晴らしいスタッフがおります!
さらに、こうしてホテルを愛してくださるお客様がいてくださる。
カーディナルは永遠です。ご覧のように、今私は元気です!
本日は……」涙で言葉につまる来島。
その後の言葉が言えず、ただ、お辞儀をする。
拍手に包まれる場内。

拍手の中、ひとりで杖をつき、歩いて退出する来島。
来島の足がよろける。
思わず手を出そうとする溜を加瀬が止める。
「会長に触るな!!会長は…おひとりで歩かれる…!」
その言葉通り、ふらつきながらも、杖をつきひとりで会場を出て行った来島。
その後ろ姿を見つめる溜と加瀬。
そして葛原。


駐車場。
「会長!」待ちうけていた医師と看護師が走り寄る。
倒れこむように車いすに座る来島。
「おじいちゃん!」駆け付ける美和と溜。
「美和…」
「大丈夫ですか?」溜が声をかける。
息も絶え絶えに、来島は溜に伝える。
「…喜んで、いたとな。今日の酒はうまかった!
…とな、君の師匠に伝えてくれ。」
「わかりました」
「行こうか。」
「代わります。」
来島の車いすを押し、車へ向かう美和。



パーティーを終えた加瀬が会場を出ると
溜が待っていた。
「勉強させていただきました。」深々とお辞儀をする溜。
「会長が、加瀬さんに本当にうまい酒だった、お礼を伝えておいてくれと
おっしゃっていました」
「それを伝えるために…待っていたのか?」
「…僕も加瀬さんに助けられました…。さっき、あのまま僕が手をだしていたら…
会長の想いを裏切ってしまうところでした…。
加瀬さんのおっしゃるとおりです。僕は…本物のバーテンダーからは程遠い。
それどころか…自分に何が足りないのか…わかっていないんです。
…すいません、こんな事。失礼します」
「私は…ただ場を抑えるためにあのグラスを出した訳じゃない。
あの場にいらしたすべてのお客様とお客様を想う会長のために
自分がなにをすべきか、考えただけだ。それが…私のバーテンダーとしての生き方だ。」
「……。」

『本物のバーテンダーは、生き方だ』

そんな来島の言葉を思い出す溜。
「自分に足りないものを探す前に…自分がお客様に何を与えることができるのか。
身を削って考えろ。
自分の小さな才能に頼らず、痛みに耐えろ。現実に学べ。」
そう言って去っていく加瀬。


BARラパン。
「すみませんでした。」
「どうでしたか?パーティーは」
「行ってよかったです、ありがとうございました」
君島が来店していることを目で伝える三橋。
溜は君島に話しかける。
「いらっしゃいませ、君島さま。
今日は早瀬さまとお約束があったのでは…?」
「すっぽかされちゃった。なんか…急に抜けられない仕事が入ったんだって。」
と悲しそうな君島。
「そうだったんですか」
「当分来られないけど…楽しい時間をありがとう」
「いえ。」

後片付けをしながら加瀬の言葉を思い出す溜。
『自分に足りないものを探す前に、自分がお客様に何を与えることができるか、
身を削って考えろ』



翌日、来島の病室を訪れる溜。
「こんにちは」
「おう、どうした」
「会長のお顔が見たくなってしまって」
「しおらしいことを言うじゃないか。はっはっは」
溜は来島のベッドテーブルに置かれた書類が目に入る。
「これは…?」
「うん、メインバーの図面だ」
「どうじて会長はカーディナルのメインバーを作ることに
そこまでの情熱を傾けているんですか?」
「おい、君…今日時間あるかい?」
「はい」

病院内を散歩する来島と溜。
溜が来島の車いすを押す。
「ワシも若い頃は小さな旅館の雇われ支配人でギリギリの生活だった」
「会長にもそんなころがあったんですか?」
「当然だよ。ただ月に一度、ラパンに通うのが唯一の楽しみでな。
なけなしの金をはたいた一杯の、なんとうまかったことか…!」
「その幸せがな…明日へのエネルギーを生んでくれた。
ワシがカーディナルに最高のメインバーをオープンするのは
あの頃の幸せな夢をもう一度この世に甦らせたいからさ。」
「幸せな…夢…」
「うん。君もな、悩みがあるんなら、心ん中からっぽにしなさい。
答えは自分の中にある。」

『生涯をかけた仕事に背を向けるということは
一生を放棄するに等しい』
かつて来島に言われた言葉。
『おじいちゃんの最後の夢になるかもしれない』
美和の涙。
『…うまい!』
自分のカクテルをうまいと飲んでくれた来島の顔。
それらを思い出し、溜は立ち止まる。

「どうした?」
「会長。」ひざまづき、来島と対峙する溜。
「僕に会長のお手伝いをさせていただけませんか」
「…ということは、メインバーのチーフバーテンダーに立候補するということかな?」
「…はい」
「葛原と、競う覚悟なんだね?」
「はい。
…僕がバーテンダーの道に戻るきっかけをくださったのは、会長と美和さんです。
そのお二人のために今僕ができることは会長の夢を叶えることなんじゃないかな、って。
きっとその先に、僕が本物のバーテンダーになるために、足りないものが
見えてくるんじゃないかと思うんです。」
「そこまでわかっているんなら、もう何も言うことはない」
笑い合うふたり。



ホテルカーディナルの加瀬の部屋。
加瀬は一通の手紙を取り出す。
差出人は来島泰三



BARラパン。
早瀬がやってきた。
「いらっしゃいませ、早瀬さま」
葉巻の箱を取り出す溜。
葉巻はあと1本になっている。
「彼女、昨日ひとりで吸っていったんだ…」
「そうですね」
ロミオとジュリエット…か。」
「何をお作りしましょう?」
「ふたりで吸うつもりの葉巻を、ひとりで吸おうとしている
さびしいオヤジのための酒…かな」
「お酒をお作りする前に、ひとつゲームをしませんか?」
「ゲーム?」
カップとダイスを取り出す溜。
ダイススタッキングか」
「シェイカーを振る練習を兼ねて、バーテンダーも練習することがあるんです。」
カップを開けるとダイスは4つ重なっていた。
「す…げえ…!」驚く杉山。
「次にシェイクして、ダイスが5つ上に積みあがったら、
早瀬様は君島様に会いに行く。」
「は…やめてくれよ。無理だよ」
「いいんですか?あいつ、お客様にあんなこと」と杉山。
見つめる三橋。
「…5つ全部縦に立つ確率は?」
「普通、30回に1回というところでしょうか」と三橋。
「技術というより、偶然に近い確率ですね。」
「確かに。でもギャンブルで大穴狙いは墓穴を掘りますが、
人生は少し大穴狙いの方が面白い。
本命を外して後悔するより、大穴を外して公開する方が自分が納得できますから」
「よし…。もう一度、振ってくれ」
「かしこまりました」
ダイスを振る溜。


早瀬の心の声
『もし…ダイスが5つ立たなかったら、彼女をあきらめよう。
だが、ダイスが立ったら…そんな偶然が起こったら……立て!!!』

カップを止める溜。
「人は時に迷ったフリをするんじゃないかと僕は思います。」
「…迷った…フリ?」
「本当に必要なのは小さな勇気なのに、意気地がないから正直になれずに
神様に頼ろうとする…。」
「……。」
「では、開けます」
「…待ってくれ!!」
顔をあげる溜。
「…本当は…自分の気持ちは最初からわかってたんだ。
今俺に必要なのは…勇気、だったんだな」
うなづく溜。
「彼女の勤め先の病院に行ってくる。」立ちあがる早瀬。
「行ってらっしゃいませ」送り出す溜。

早瀬が去ったカウンター。
そっとダイスの入ったカップを開ける三橋。
ダイスは5つ立っていた。
「すんげえ……!5つ立ってる…!!」驚く杉山。
「いや、これまぐれですよ」と溜。
「5つ立てられるんじゃないですか?最初の1回はわざと外した。」と三橋。
「そ。そうなのか!?」
「…お客様に小さな勇気を与えるのも、バーテンダーの仕事ですから」
「カッコイイこと言うな、チクショー!」
「明日、来島会長のところに行ってきましょう。」
「え?」
「カーディナルのチーフバーテンダーの件、聞きました。
我々も応援します。」
「ありがとうございます。」
「病院に行ったら、美和さんに会えますね!」
「君はお留守番です」
「つ、連れてってくださいよ~~」
ほほ笑む溜。

プルルルルル
ラパンの電話が鳴る。
「あ、僕出ます。」と溜。
「はい、ラパンです」
『…佐々倉さん…?』
「美和さん…?」
『……』
「…どうしたの?」
ただならぬ様子に、三橋と杉山も耳をそばだてる。
『おじいちゃんが……』
「……」
『……』泣き崩れる美和。
「……」電話口で、固まる溜。



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来島のおじいちゃん、亡くなってしまったんでしょうか~~~><。
次回はとうとう最終回!

カーディナルのメインバーの決定権は、加瀬が握っているようです。
やっとやる気になった溜。
とはいえ、葛原の気持ちもわかるから、
ふたりに任せればいいのに~~~!と思いますが、そううまくもいかないんでしょうな。
だいたい、あのふたりで仕事をするには性格が違いすぎて
絶対無理だよね。。。


今回も、溜くんの真剣な顔、笑顔…
さまざまな表情に癒されました!

あと1回だけなんて悲しい~~~!!!><
これはDVD-BOXを買ったほうがいいかな…
考え中です!!!


来週もできればレビューしようと思っています。

まーくんはもうクランクアップしたのかな?
がんばれ~~~!